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マンモグラフィと乳腺エコーの併用が有効な理由

まとめ: 見えるものが違うので両方受けるのをお勧めします。

40歳未満の若年女性の場合、乳腺が発達しているため、マンモグラフィの画像が全体的に白っぽくなり、しこりの有無が分かりにくいことがあります。こうした乳房を「高濃度乳房」といいますが、このような場合は超音波検査が有用です。


よくある質問に「マンモグラフィと超音波検査のどちらを受診すれば良いでしょうか」といった内容があります。平成31年3月に日本産婦人科乳腺医学会において「産婦人科としての乳腺疾患スクリーニングの役割」という発表がありました。

 

乳がんは女性の罹患率1位のがんであり、11人にひとりの女性が生涯で乳がんにかかるというデータがあります。(国立がん研究センター 最新がん統計より)

我が国では1987年から問診と視触診による乳がん検診が開始されましたが、問診と視触診のみでは、乳がんの死亡者数を減少させる効果は得られませんでした。

そこで、2004年より40才以上の女性を対象にマンモグラフィ検診が導入され、それ以降マンモグラフィを原則とした乳がん検診を2年に1回の受診するように市町村主導で推奨されています。


マンモグラフィ検診はしこりとして触れる前の早期の乳がんを発見できる可能性の高い検査で、欧米では乳がんによる死亡者数を20~30%減少させています。

実際に、欧米では2年に1回の割合でマンモグラフィ検診を受診される人が約60~80%に達していて、乳がんの死亡率は減少しています。

一方、日本人のマンモグラフィ検診受診率は最近になって少しずつ増加してきていますが、なんとか30%を超えた位です。


日本人に多い高濃度乳房
上述のように我が国では、欧米に比べてマンモグラフィ検診の受診率が低いという問題に加えて、

日本人は欧米人と比較して乳房が小さく、高濃度な乳腺が多いのでマンモグラフィで描出されにくい場合があるという、

いわゆる デンスブレスト(dense breast)という問題があります。デンスブレストとは「高濃度乳腺」と訳されており、

乳腺の濃度が高い為にマンモグラフィで白く写る乳腺を示します。


高濃度乳房の問題点は
①マンモグラフィではがんも白く写し出されるために検出しにくい。
②高濃度乳房の方はがんの発症率が高くなる。  ということにあります。
我が国の乳がん罹患率のピークは40歳代であるにもかかわらず、乳腺の多い40代までの方や、

高齢でも乳腺が多く残っている乳房ではマンモグラフィでは全体が白く写ってしまい乳がんの検出が難しいことがあるのです。

日本人の40代の女性では8割近い方がデンプレストで、50代にも多いというデータもあり、ご自分の乳腺の濃度を知っておく事は非常に重要です。

 

前述した高濃度乳腺の方では正常な乳腺組織の中に存在する乳がんを区別できず、見落としてしまう可能性があり、

そういう場合にはマンモグラフィ検査に超音波の検査を追加することによって乳がん発見に役立つことがあります。

マンモグラフィでは正常乳腫も乳がんも白く描かれるので、その区別(判定)が難しいことがありますが、

超音波検査では乳腺組織は白く、多数の乳がんは黒く描かれるため、比較的発見しやすいという利点があり、

マンモグラフィとは異なり放射線の被爆もなく乳房のしこりが良性か悪性かを判別するのに非常に有効です。


マンモグラフィと超音波検査の併用による総合判定が必要な理由



このような現状ですので、マンモグラフィと乳房超音波検査の併用による総合判定が望ましいことは明らかであるのですが、現在のところは総合判定が医療従事者に広く浸透しているとは言い難い状況にあります。横浜市の乳がん検診においては、マンモグラフィにおけるデンスブレスト(高濃度乳腺)の問題を補完する意味で視触診の継続がされておりますが、本年度から患者様の選択制となり、省略することも可能となりました。デンスブレスト(高濃度乳腺)の方は、視触診で触れることができるような大きさの乳がんでさえも、ごく稀ではありますがマンモグラフィで判別が難しい場合もあることを考えますと、今後自治体の視触診が全面的にカットされるようなことがあるのであれば、乳房超音波検査併用による総合判定の必要性はますます高まっていくと言えるでしょう。(実際に川崎市など一部の自治体においては視触診が全面的にカットされはじめているようです。)


当院ではマンモグラフィと超音波による総合判定を一日で施行することができます


横浜市乳がん検診(公費)+超音波検査(自費/保険)による総合判定も可能
横浜市にお住いの40歳以上の方であれば横浜市の助成を受けて2年に1回1,370円の自己負担でマンモグラフィと視触診を受診頂くことができます。また、本年度41歳になる横浜市民には、乳がん検診の無料クーポンが送付されています。
当院では、この横浜市乳がん検診の制度に自費での乳房超音波検査を追加することにより総合判定を受けることが可能です。

昨年4月より特定検診と保険診療との同日実施が認められたことが自治体がん検診にも適用されており、

症状があり医師が必要性を判断した場合は、乳房超音波検査において保険が適用される場合もあります。
さらに当院では、横浜市乳がん検診と横浜市子宮頸がん検診の同日受診もお受けしております。

横浜市子宮頸がん検診は、20歳以上の横浜市民であれば横浜市の助成を受けて2年に1回1,400円前後の自己負担で子宮頸がん検診を受診頂くことができます。

がんは早期発見・早期治療が大切ですので、ぜひこの機会をご利用下さい。ただし、乳房超音波検査と子宮内超音波検査の同日での保険算定は認められておりませんのでご了承ください。

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