膵嚢胞(すいのうほう)
膵嚢胞
膵嚢胞は、膵臓にできる液体の袋です。ほぼ症状はなく、腹部超音波検査などの画像検査で指摘されます。近年、検査技術の向上により発見率が増加しています。放置しても問題ないケースが大半です。しかし、稀に悪性腫瘍や悪性腫瘍の前段階(前がん病変)の可能性もあるため、定期的な検査と適切な診断・治療が必要です。
膵嚢胞の症状:ほぼ無症状
大きくなったり、特定の位置にできた場合、以下のような症状を引き起こすことがあります。
- 背部痛
- 上腹部痛
- 食欲不振
- 吐き気
- 嘔吐
- 腹部膨満
- 黄疸
まずは他の病気を疑って検査を進めます。
膵嚢胞の原因は、まだ完全には解明されていません。主な原因としては、以下のものが考えられています。
膵嚢胞の原因
主な原因としては、以下のものが考えられています。
- 先天性異常
- 加齢
- 炎症:慢性膵炎、急性膵炎
- 膵管の拡張
- 腫瘍
膵嚢胞の疫学(人数・発病率など)
50歳以上の成人では、約2~5%が膵嚢胞を持っていると言われています。加齢とともに罹患率が上がります。男女比は約2:1です。膵炎の既往がある人は発症リスクが高いとされています。
膵嚢胞の病気の種類
- 漿液性嚢胞:膵臓にできる最も一般的な良性嚢胞。
大まかにいえば、漿液性嚢胞かその他かで定期フォローの細かさが異なります。
- 膵管内乳頭状粘液腫瘍(IPMN)
- 膵管拡張性嚢胞腫瘍(MCN)
- 固形膵管内乳頭腫瘍(SPN) など
膵嚢胞の治療法
- 無症状で経過観察可能な場合が多い
- 悪性腫瘍の可能性がある場合は手術で切除
- 嚢胞が大きい場合や症状がある場合は、超音波内視鏡で精査
膵嚢胞の定期検査
- 検査内容は、嚢胞の種類や大きさ、症状などによって異なる
- 一般的には、腹部超音波検査やCT検査、MRI検査などを行う
- 悪性腫瘍のリスクが高い場合は、より頻度高く超音波内視鏡の検査を行う
まとめ
- 膵嚢胞は、多くの場合良性の病気です。しかし、稀に悪性化する可能性もあるため、定期検査を受けることが重要です。
参考情報
- 国立がん研究センター
- 日本消化器病学会
- 日本膵臓学会